海外居住者の取扱いについて
退職後、海外に居住される方、年金受給中で海外に転居される方は、お手続きが必要です。
下記の通りご案内致しますので、非居住者に該当される場合は、基金までご連絡下さい。
居住者と非居住者の分類について
「居住者」とは、日本国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上「居所」を有する者をいい、「非居住者」とはそれ以外の者をいいます。
内 容 | |
---|---|
居住者 | 日本国内に住所を有しているか、又は1年以上の居所を有している人
*住所:各人の生活の本拠 *居所:生活の本拠という程度には至らないが、現実に居住している場所 |
非居住者 | 居住者以外の個人
*海外に居住することになり住所を海外に移した人や1年以上、海外の支店に勤務する為に出国したような人 |
海外居住により出国する場合
(例)1年以上の予定で出国 ⇒ 「非居住者」
1年未満の予定で出国 ⇒ 「居住者」
★当初1年以上の予定で出国していた者が1年未満で帰国した場合
⇒海外居住中は非居住者
★1年未満で出国し居住者の扱いとしていた者が1年以上の出国に変更になった場合
⇒1年以上となることが明らかとなった日までは「居住者」、その翌日以後は「非居住者」
税金の取扱いについて
年金を受けられている方、これから年金を受けられる方
非居住者に対して支払われた、年金に係る税金の取扱いは、日本国内では「租税条約」の有無により、下記のような取り扱いとなります。
租税条約の有無 | 計算式 | 取り扱い | |
---|---|---|---|
有 | 源泉徴収税額 免除 | 租税条約の適用を受ける国に居住する場合(PDF形式/25KB) | |
無 | 源泉徴収税額={公的年金等の支給額-(※控除額×月数)}×20.42% | 租税条約の適用を受けない国に居住する場合(PDF形式/25KB) |
受給者の区分 | 控除額 |
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65歳以上 | 9万5千円×年金の額に係る月数 |
65歳未満 | 5万円×年金の額に係る月数 |
一時金を受けられる方
非居住者に支払う退職一時金は、居住者であった期間に行った勤務に対応する部分が国内源泉所得に該当し、この部分のみが所得税の課税対象となります。
<非居住者の退職所得の源泉徴収税額>
源泉徴収税額=一時金給付額×国内勤務期間/総勤務期間×20.42%
住所 | 海外在住期間の予定 | 判定 | 所得税の 源泉徴収 |
地方税の 源泉徴収 |
|
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1月1日 現在 |
退職時 | 居住者 | 居住者として課税 | あり | |
国内 | 国内 | 1年以内に帰国予定で出国 | 居住者 | 居住者として課税 | あり |
国内 | 国外 | 1年以上海外在住予定で出国 | 非居住者 | 20.42%課税 | なし |
国外 | 国内 | 居住者 | 居住者として課税 | なし | |
国外 | 国外 | 非居住者 | 20.42%課税 | なし |
退職所得についての「選択課税」
本人の選択により居住者と同じ課税を受けることが出来ます。
退職金の支払いを受けた翌年1月1日以後に、税務署長に対し所得税の確定申告書を提出し、既に源泉徴収された税額との差額を還付してもらうことが出来ます。
租税条約の取扱いについて
租税条約とは、国際的な二重課税の回避又は排除を目的として、各国との間で結ばれた条約です。二国間で所得に対する租税について課税の範囲が定められています。
居住国により、租税条約を締結している場合、締結していない場合、また締結していても「退職年金の規定」の有無により、取り扱いが異なります。
租税条約に基づく免税を受けられる場合
「租税条約に関する届出書」を基金を経由して、日本橋税務署に提出する必要があります。
税務署で受理されますと、それ以降お支払いする企業年金基金の年金については、非課税となります。
年金条項のある租税条約の締結国・地域一覧(五十音順)
No. | 締結国・地域 | No. | 締結国・地域 | No. | 締結国・地域 |
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1 | アイルランド | 24 | クウェート | 47 | バミューダ |
2 | アゼルバイジャン | 25 | クロアチア | 48 | ハンガリー |
3 | アメリカ | 26 | ケイマン諸島 | 49 | バングラデシュ |
4 | アラブ首長国連邦 | 27 | サウジアラビア | 50 | フィジー |
5 | アルメニア | 28 | ザンビア | 51 | フィリピン |
6 | イギリス | 29 | ジャージー | 52 | フィンランド |
7 | イスラエル | 30 | ジョージア | 53 | ブラジル |
8 | イタリア | 31 | シンガポール | 54 | フランス |
9 | インド | 32 | スイス | 55 | ブルガリア |
10 | インドネシア | 33 | スペイン | 56 | ブルネイ・ダルサラーム |
11 | ウクライナ | 34 | スリランカ | 57 | ベトナム |
12 | ウズベキスタン | 35 | スロバキア | 58 | ベラルーシ |
13 | エクアドル | 36 | スロベニア | 59 | ポーランド |
14 | エジプト | 37 | ダジキスタン | 60 | ポルトガル |
15 | エストニア | 38 | チェコ | 61 | 香港 |
16 | オーストラリア | 39 | チリ | 62 | マレーシア |
17 | オーストリア | 40 | 中華人民共和国 | 63 | メキシコ |
18 | オマーン | 41 | トルクメニスタン | 64 | モルドバ |
19 | オランダ | 42 | トルコ | 65 | ラトビア |
20 | カザフスタン | 43 | ニュージーランド | 66 | リトアニア |
21 | カタール国 | 44 | ノルウェー | 67 | ルクセンブルク |
22 | 韓国 | 45 | パキスタン | 68 | ルーマニア |
23 | キルギス | 46 | バハマ | 69 |
(注1)アメリカとの租税条約には属地・準州(グァム等)は含まれません。
(注2)中華人民共和国との租税条約にはマカオ、台湾は含まれません。
尚、台湾は、外国居住者等所得相互免除法に基づく措置が2017年1月に施行されましたが、退職年金については免除対象外となっています。
(注3)ベルギーは、2020年1月から「退職年金」が免除対象外となりました。
租税条約の手続について
1年以上海外に居住されている方、これから海外に居住される予定の方はお手続きが必要です。
現在年金を受給中の方
(※1)居住者証明書は米国内国際入庁(IRS)へ申請し取得する。
これから年金を受給される方
待期者の場合
上記一覧表の書類の他、当基金より誕生日の2か月前に退職時に登録されている住所へ、「裁定請求の手続きに関する書類」を郵送します。必要書類を添付の上、お手続き下さい。
加入者の場合
上記一覧表の書類の他、退職時に事業主より手続きに必要な書類をお渡しします。必要書類を添付の上、お手続き下さい。尚、マイナンバー確認書類は事業主が手続きをしますので、提出不要です。